全12話のアニメでパロディとか時事ネタとか好き放題したあと、最終話残り15分で地獄に叩き落とされる干支かれというゲーム
3日ほど前から「干支かれ」というアプリをプレイしている。これ以上ないほど分かりやすい女性向けタイトルだが、中身は正反対どころかソシャゲと世の中への恨みつらみで出来ているメタ・下ネタ・時事ネタのダークホースだった…。しかも企業が出しているのにほぼ一人での制作らしい。
企画発表からリリースまで二年近くの間があいていることからも闇。
まず、ロード画面。
怨嗟そのものである。
起動するときに毎回見せられるのはプロパガンダか?
ロード画面でも再三言われているように干支かれは完全無課金ゲームである。広告収入で運営する形式で、その広告も邪魔にならない程度。かといって他の放置ゲームみたく長時間の放置が必要というわけでもなく、基本的にはやりたいときにがっつりやれるようなコンシューマゲームに近い感触だ。システムも単純明快で手は出しやすいと思うが、とにかくシナリオの癖が強すぎる。
コンプライアンスが裸足で逃げ出している。
この男が仲間に加わってからは下ネタのギアも上がる。性器を出すな!
これはシナリオ上の私が寝込んでいるシーン。青年誌に帰ってほしい。
12人のイケメン(豪華声優)と紅一点の私というロマンスが生まれそうな設定なのに、誰一人としてまともなやつがいない。全員ちょっと人間性に問題があるし富樫が好き。男の子だね。そして仲良しコンビみたいな存在もおらず、みんな自分の身がかわいい。人間だね……。(神だが)あまりにも内ゲバるので、デスゲームもどきに巻き込まれたりもする。
ちなみに推しだ。
干支は羊、服装もふわふわしていて可愛いが中身はハンニバル・レクター。「私」のことをいたく気に入っているらしく偏執的な愛情を向けてくる。
ヤンデレだが、行動的すぎて「君を守るために敵をけしかけたから俺が助けてあげるよ」みたいな壮大な自演をしてくるのでかなりのサイコ。
さて、このように怨嗟とおふざけで出来ているネタゲー枠だと思われていた干支かれであるが、ちょいちょい不穏な伏線が散らばっていた。濃すぎるギャグですぐ流されていたのでそこまで気にしていなかったのだが、その伏線は最悪のかたちで一部終わりに回収される。ネタバレになるのでぼかすが、これはガチャゲーではできない展開だ……と思った。スルーしていた不穏要素が全力で殴りかかってきて、理解したあとにはすべてが遅かった。愛でたり親しみを覚えていたキャラクターたちの命が、紙くずよりも軽い存在だったなんて残酷なことある?性器を出しても突然居間をキャバクラにしても風俗に売り飛ばそうとしても怒らないからもどして、かえして……と呻いていた。私は怒らないけどコンプライアンスが怒るな……。
とても万人には勧められないが、キツめのギャグが平気・好きかつ唐突に地獄へと叩き落とされたい人にオススメです!!ニッチすぎる。
干支かれをよろしくしたりしなかったりしてください。それでは。
2021/04/13 追記
いつのまにかたくさんの方に見られてるみたいでありがとうございます。あれから2年、干支かれもいろいろ発展しており、いちファンとしてたいへんうれしく思います。まず、課金要素がつきました。ガチャとかもつきました。けれどあくまでおまけ要素や時短的な意味合いが強く、ストーリー進行にはなにも問題ありません。完結しました。続編あるみたいです。根本的なノリはなにも変わってないので、この記事を読んで興味をもってくださった方にはご満足いただけると思います。
なむあみだ仏は徳が高いアニメ
なむあみだ仏!を見てください。 正直、そんなにクオリティには期待していなかった。今日も梵納寺は花丸!みたいなノリで、イケメン仏たちがわいわいするまんがタイムきららだと思っていた。7話でそんな甘い認識は打ち砕かれた。私達が見ていたものはなむあみ☆だぶつっ!ではなく手塚治虫のブッダだったのである。
なむあみだ仏!はイケメンになった仏たちが、衆生の煩悩を浄化していく話だ。拠点である「梵納寺」、煩悩が跋扈する「現世」、ふたつを舞台にしてものがたりは進む。このなむあみだ仏、とにかく作画がいい。この作画のよさで繰り出されるシュール仏教ギャグが、なんかもうくせになる。そして話もおさまりがよく、仏教の教えとうまく絡められているのだ。仏によるガチ説教だし、押し付けがましさもないので素直に受け止められる。あとギャグのセンスが本当におかしい。まず二話ではなぜかデイトレードをしている仏、そして暴れ狂う象のうえにガチョウと共に飛び乗り騒ぎを収める仏を見た瞬間虜になってしまった。暴れ狂う象を乗りこなすイケメン、バーフバリでしか見たことない。3話では老人会に仏たちが潜入し、かれらの人間らしさと、青春の一端をみる。とてもいい話だったが、画面のどこを見てもジジババフェスティバルなのは女性向けアニメとして挑戦的だった。ちなみに仏たちももれなく老人に扮している。(そのままの姿で行くと徳が漏れ出て拝まれてしまい大変なことになるので) ほかにもラップをしたり、マンボをしたり、人間くさい仏たちの姿にはクスリと笑えるし、なんだか親近感もわく。ちなみに私はマンボがマジで理解できなくて距離が遠くなった気がした。
なに?
【なむあに用語集】ヌルヌルマンボ(ぬるぬるまんぼ):マンボNo.5によく似たマンボ曲に乗りながら虚空蔵菩薩とウナちゃんが踊るマンボのこと。人間が偶然これを見ると陽気な気持ちになり幸せに包まれるとかなんとか(人間視点では擬態姿のため漁師がウナギと踊っているように見える)#なむあに #なむい pic.twitter.com/Zfa79vmjmK
— TVアニメ「なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-」公式 (@namu_anime) May 22, 2019
ヌルヌルマンボって何? てか鼠径部出しすぎ。
そしてこのヌルヌルマンボの翌週、例の7話だ。7話では、とある仏の確執と過去に触れる。 舞台は蝗害により厳しい状況を強いられている村。どんよりと重たい空気の中、ほかの村人のぶんまで水をくみ、家畜に餌をやる少女がいた。彼女はだれよりも明るく、清新だった。しかし、彼女の父親は畑がだめになってから人が変わったようになり、少女を虐げていた。仏たちはそんな彼女を救いたいと画策するが……。
「救う者、救わない者、なぜ線を引く。なぜ救えるなどと思う」
この話に救いはない。なにもかも最悪な形で終わる。しかし絶対悪はいない。どういう結末かは、ぜひ自分の目で確かめてほしい。6/2まで各種動画サイトで無料、Amazonプライムなら全話無料配信中!
マンボは!?!?と言いたいくらいに壮絶な回だった。まんがタ仏きららのノリしか知らなかった視聴者たちは「hotoke/zero」「手塚治虫・火の鳥」「メギド72」など口走りながら一様に救いを求めて死んでいった。しかも7話は通常のop・edカットで特殊edの劇場版仕様。次回予告前には「釈迦釈迦じゃんけん」というサザエさんリスペクトのじゃんけん企画があったのだが、それすらも無くあまりにもの温度差に釈迦釈迦じゃんけんをさせて……と真剣に願ってしまった。 同時になんとしてでも布教しなければ!!という熱意が生まれた。こんなに丁寧で、仏という題材でしかやれないような話をやってくれるアニメがイロモノ扱いで終わるのはもったいなさすぎる……!
そして、来たる9話。
※先程のツイートにタイトルミスがありましたので訂正します【あらすじ公開】第九話「無明の夜こそ、笑みを燃べよ」マーラの策略により煩悩は炎とともに本堂への広がり梵納寺は破壊された。残りの輪光をも失い愕然とする一同。煩悩に背後から襲われた…https://t.co/yDorXv1sUB #なむあに #なむい https://t.co/EutJS3bhw5 pic.twitter.com/CtUTAxwgza
— TVアニメ「なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-」公式 (@namu_anime) May 31, 2019
寺が、燃えます。 いまなむあみだ仏!を履修するとリアルタイムで寺が燃えます!!
なむあみだ仏を、よろしくお願いします……。
アヴェ・クラシックはこのまま埋もれるにはもったいない
アヴェ・クラシック〜クラシック男子による作業効率タイマー〜はその名の通り作業を管理してくれるタイマーアプリだ。作業時間を決めて、そのあいだはスマホが触れなくなる。(べつの画面に遷移するとタイマーがリセットされてしまう)作業をすればするほどキャラクターとの親愛度も上がり、メロディというゲーム内通貨も貰える。わりと単純明快なアプリで、おまけの要素としてメインストーリーも実装されているのだが、そのメインストーリーが個人的にとてもヒットする内容だった。
キャラクター
ちなみに推しです。病弱でバーサークでおまけに下僕がいるという属性の大渋滞だが、とてもかわいい。
ちょっと怖いな。
ボイスの種類も豊富で、親密ストーリーとキャラストーリーがそれぞれに用意されており、衣装を買うとさらに個別のストーリーがついてくる。キャラゲーとしてもかなりボリュームがある部類だと思う。
あらすじ
異世界に落ちてきた「私」は謎の化物に追われていた。助けてくれたのはしゃべる犬と金髪の青年。彼の名はカノンといい、自らを音楽だと語る。「私」には音楽たちを呼び覚まし、調律する「指揮者(コンダクター)」としての力があった。謎の化物はこの世界をおびやかす「バロッカー」という存在。この世界が消えてしまえば、現実世界で「音楽」そのものが消えてしまう。「私」は音楽たちを指揮しながら戦っていく──
まず、この時点でかなり惹かれていた。なに?「おお、友よ!このような音楽ではない!」(オー・フロインデ ニヒト・ディーゼ・トェーネ)
ルビがかっこよすぎ〜〜〜〜〜〜。
これは音楽たちが使える必殺技だが、彼の能力は相手の状態を否定し、自分の意のままにすることができる能力。たとえば当たっていなかった銃弾を、すべて当たったことにできる。
もう厨二ごころがバンバンにくすぐられた。この必殺技は祝福能力とよばれるもので、もとになった音楽や作曲家の逸話をもとにしている。たとえば作曲されたものの生涯演奏されることがなかった曲の祝福は「忘れる」こと。盲目の作曲家がつくった曲の祝福は幻影の世界をつくること。盲目の彼が想像したうつくしい世界を顕現させるのである。
そして、ストーリー。くわしく話すと重大なネタバレになってしまうが、かなりキツい描写があるうえに、親しいふたりの片割れが必ずひどい目にあう。さんざん嬲られてから洗脳される、発狂して片割れをメッタ刺しにし地下牢に繋がれるなど、とにかく関係性にできるだけひどい試練を与えたいという強い気持ちがうかがえる。しかし、それを乗り越えたあとのカタルシスはひとしおであり、キャラクター単品でなくセットで推したくなる。
そして、この男。
めちゃめちゃ顔がきれいで、双子の弟で、兄の狂信者。最高。私は特定の人物に強く執着している(近親であればなおよい)キャラクターが好きなので、この男の存在だけでレビュー☆5だし、「まじでこの世の近親に執着している顔がきれいな男性好きに教えてあげたいんだが〜」とすべての関係者に伝えようとするグルメアカウントになりそう。
メインストーリーはゲーム内通貨を使って開けることができ、ゲーム内通貨は作業をしたりログインボーナスをもらったりキャラクターとの絆を深めることで手に入る。待てない!という方は2000円ちょい払えば現行配信分をすべて読むことが可能だ。
このように刺さる人には刺さるであろうメインストーリーだが、アプリの知名度がない。フォロワーでもやっている人を見たことないし、公式Twitterのフォロワーは1000人である。現行配信分までのメインストーリーはいよいよ大詰めというところで終わっていて、正直めちゃくちゃ続きが気になる。未完結のままサ終することがあれば成仏しきれず亡霊になると思うので、少しでも気になったらぜひ触れてみてほしい。よろしくお願いします。